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梵鐘をつくる


梵鐘鋳造跡 梵鐘、すなわち、釣鐘は、運搬がたいへんなため、それぞれの寺院の近辺に臨時の工房が設けられ、工人が出向いて鋳造するのが普通であった。飛鳥では、田中廃寺で、梵鐘鋳型としては、一番古い7世紀後半のものとみられる断片がみつかった。しかし、鋳造遺構そのものは未発見である。梵鐘鋳造遺構としで最も古いのは、最近発掘された滋賀県木瓜原(ぼけわら)遺跡であって、7世紀未〜8世紀初め、つまり、飛鳥池工房と同し時期のものである。梵鐘の鋳造には、まず地面をあさく掘りくぼめ、基礎を固め、土製の鋳型を掘え、上部にあけた湯口から湯を注ぐ。

梵鐘の鋳型断面模式図 梵鐘の鋳型は、内が中空であるため、外型だけでなく、中子(なかご)も必要である。外型は、木製の型板を回転させて挽きだし、そのあと撞座、竜頭などの丈様を刻む。同一の挽型で鋳型が作られたと考えられる梵鐘として京都妙心寺と福岡観世音寺の梵鍍がよく知られている。

溶解炉は、木瓜原遺跡では、すでに失われていて分からなかったが、すぐそばに作られたであろう。湯は、樋状のものをつたい鋳型へ流しこんだと思われる。湯が冷えるのを待って、鋳型から取り出されることになるが、この際鋳型を壊して取り出すので梵鐘の鋳型は残りにくい。木瓜原遺跡では、幸い、後世の用語で「草の間」と「駒の爪」と呼ぶ鋳型の最下部が、かろうじて残っていた。この鋳型の「草の間」は無文であるが、妙心寺鐘や観世音寺鐘のばあいは、流麗な唐草文が彫り込まれている。


鋳物・鍛冶のはじまり 鋳型の制作 銅を溶かす
風を送る---
鞴(ふいご)
坩堝(るつぼ)の役割 梵鐘をつくる
鉄を鍛える---
鉄は熱いうちに打て
製品の仕上げ
種々の技術を駆使
注文の様子
木簡と木製ひな人形
廃棄物からわかること
大量の炭
木造建築と金属製品
---釘をつくる
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