「極楽坊」




 これはお世話になってる某氏から
「元興寺極楽坊の由来については、奈良のいろんなホームページでも詳しい紹介をみかけません。あたしは極楽坊のおこり今昔物語ヴァージョンが大好きなのであります。」
 とメールを頂きまして、話のおこりを説明下さって、

「元興寺の僧坊に 智光、頼光ゆう学僧がおった。智光はやたらまじめでひたすら勉強に励んだけれど、頼光は毎日ひるねばかりしていて、ぽっくり死んでしまった。智光はなまけもんの兄弟弟子の後生が心配でたまらず、祈念して ある晩 頼光の夢を見た。‥‥あとは今昔物語巻15で読んでね。」

 ‥‥読みました。
 で、話の要約をマンガにしてみたのですが、‥‥何だか身も蓋もない内容になってしまいました。
 前半は某氏の解説があるので後半。

 見れば頼光は、ゴージャスな極楽浄土みたいな所にいるので、智光は信じられず、
「こ、ここはどこ?」
「極楽やん。あんたが祈念したさかい見せたったけど、早よ帰り。ここはあんたの居る所とちゃう。」
「え、僕だって極楽浄土に居たいんだ!帰らない!」
「あんたはここに留まれるような事してへんもん、ちょっとの間かて居たらあかん。」
「君は生きてる時、な〜んにもしてなかったじゃないか?!何でここに居るんだ?」
「知らんわ。ただ、極楽に行きたいって思って、阿弥陀さんと極楽のことだけ考えて寝とったんや。その功徳でここに来たんや。あんたはよう勉強しとったけど、心は乱れとるさかいに、極楽には来られへんねん。」

 まぁ、この後、阿弥陀様に諭され、現世に戻った智光は一心に阿弥陀と浄土を観じて、極楽へ行く事が出来ました。と言う話です。
 で、智光が見た極楽を絵に描いたのが「智光曼陀羅」で、それを収めているのが「元興寺極楽坊」というわけです。

 今回は初の正しい(?)観光案内だぜ!
 観光ガイドブックはでお求め下さい。

初出;2005年5月18日


 裏話 

「今昔物語」に於ける智光のポジションと言うのは、エリートを鼻に掛けた嫌な奴が仏罰を受けて改心する‥‥ってもんです。「N県:50」でもちょこっと登場します。
 実際は結構、色々と貢献もしている様なのですが、とにかく、「今昔物語」のは悲惨。こっちの話は一応極楽に行ってるのですが、行基の話なんて、地獄に落ちるわ、燃やされるわ、気の毒な事この上なしです。
 興味ある方は、「今昔物語」読んでみて下さいませ。

このページのトップへ


マンガトップへ